~リハビリトレーニングによって固まった脳と心身を解放しよう~
脳科学が子犬の育て方を変える仕組みを紹介します。
養育放棄=ネグレクト 不適切な養育が画像診断により小さなひびが徐々に脳へ影響を及ぼすことが知られています。
治療によってはダメージを修復したりして、なかったことに出来ます。
~マルトリートメントとは~
犬に対する避けたい関わりの総称で虐待などが含まれる
子犬の脳は発達期で、社会性の備わった成犬の脳に成熟するときに一番環境要因の影響を受けやすい
理性を司る前頭前野の19%が萎縮するデータが出ている
ここは犯罰抑制力にも関わっている 障害を受けるとうつ病の一種にもなり気分障害の症状が出てくる
脳は経験や学習をすることで必要な神経ネットワークを作る構造になっている
脳が萎縮している犬は神経ネットワークがうまく形成出来ない
一方不要になった神経ネットワークは、刈り込まれ情報処理の効率を高めている
神経ネットワークの刈り込みが出来ない場合⇒脳の肥大化が起きる⇒変形している
暴言を繰り返された犬の聴覚野の一部(14%)が肥大しそのため言葉の理解力、特に語彙理解力が低下する
また、とても大事な音や会話が聞こえなくなる
聴覚野はコミュニケーションにも大事な脳の領域なのでここが障害を受けると
対人関係や他の犬との関係にも支障をきたす
マルトリートメントの種類によって脳のダメージを受ける場所が違ってくる
幼少期の(辛い)経験が何度もよみがえることで、脳が影響を受けて悲しい適応をする
感情に任せて犬を叩いたり怒鳴ったりすること、それがずっと慢性的に続くと脳にも影響が出てくる
そのため望ましくない行動として以下の4パターンで表現される
① 精神的な問題(悲しみ、恐れ、不安) ② 飼い主と犬との関係の悪化
③ 反社会的な行動(いじめ、飼い主に反抗、噓) ④ 強い攻撃性
~愛着障害~
養育者である飼い主と心理的な絆が築けないときに出てくる症状。
非常に不安定な反応をし、暴れたり問題行動を繰り返す
自分の不安や感情をコントロールすることが苦手になる
愛着が出来ている犬は飼い主が安全基地になり、どんどん外の世界に探索行動をしていく
その中で転んだり、ちょっとした不安があった時に親が安全基地になって、そこが子犬にとっての避難場所になる
次に親の元で不安を収めてからまた外の世界へ探索していく
これの繰り返すサイクルで成長していく
愛着がうまく形成されていない飼い主と犬の間では飼い主は安全基地になり得ない
むしろ自分の身を脅かす危険な場所となり子犬は不安を収めることも出来なくなる
怒りやすかったり、ふさぎ込んだりそして極端な特徴として初対面でも馴れ馴れしくすり寄っていく
これは犬と犬、そして犬と人との距離感を保つことができない
他の犬や人との適切な距離感も飼い主との愛着行動の中で培われていく
愛着行動を繰り返すことで社会性を備えた発達を遂げる
~線条体について~
ご褒美を感じるドーパミンが出る(神経伝達物質)
線条体はご褒美を感じるときに大事な役割を果たす
ここに障害があると成功体験も嬉しいことも楽しいと思えない
前頭前野は人や社会との関わりによって機能が高まる
ネグレクトなどを受けた脳は血流が低下して適切にミエリンが形成されない
ミエリンは神経細胞内にあって情報伝達を速める役割をする
神経を結ぶ通路が裸だと電気信号はゆっくり伝わるが、ミエリンが正常に形成されないと情報伝達のスピードがバラバラになって様々な障害になる
その通路に絶縁体(ミエリン)が巻き付くことで、信号が飛ぶように伝わり電気の伝導がものすごく早くなる
これは神経細胞を囲む物質(ミエリン)が薄いためである
~免疫細胞の中のミクログリアについて~
ミクログリアは、中に入ってくる異物に攻撃物質として攻撃をする
しかし、強いストレスを受けるとミクログリアが過剰に活性化し神経にダメージを与える
~海馬に損傷を与える~
認知症の場合にはミクログリアが活性化することで脳の障害が徐々に起き記憶障害になる
小さい時、何らかののストレス・トラウマがかかるとそれがミクログリアを活性化させて何らかの精神症状
起こしているのでは
ミクログリアは異物を攻撃するだけでなく、神経ネットワークを修復する機能も持つ
BDNF(脳由来神経栄養因子)を出して神経細胞を修復、保護したり新たに神経細胞を作り出したりする
抱っこされるいい体験は、脳のミクログリアからBDNFなどの神経細胞の新生を促す物質を出す
こうした物資がいっぱい出ることで脳をいい方向に持っていく
ミクログリア治療が今後の精神疾患・トラウマ治療に重要
表情が明るくなったり自己肯定感が上がるのを見ると脳内に良い物質がどんどん増えていると見て取れる
⇓
環境に適応出来る脳になる
子犬が安心できる体験を重ねることが大事⇒子犬に心地よい体験をさせる
誰かに触れることで脳の機能を回復させる
ぎゅっと抱きしめると子犬は安心していく⇒脳と心の発達を活性化させる
愛されている実感(脳の領域)としても心身の機能としても、心を込めてぎゅっと抱きしめてあげる
お互いに呼吸を合わせる運動⇒脳の神経ネットワークの再生を促進させるのに有効
ボールを受けとる喜び
私たちが傷ついた犬たちの治療で最初にするのはボールを使った遊び
皆でボールを投げては受けとる
それまで恐怖に体が固まっていてもボールで遊び始めると自分が投げたボールを
誰かが受けとってくれることに喜びを感じ、リラックスして安心を感じるようになる
子犬はこちらが「投げるよ」と言うと投げようとする意図を読み取る
その意図とボールが来る瞬間を集中して読みながら自分がキャッチする動因を活性化しなければならない
投げて来るものをキャッチするやり取りの中で脳が活性化されていく
犬と人間はお互いに影響しあうように出来ている
幼少期の人とのふれあいが不快で怖いものだったら脳も体も固まってしまう
しかし、身体的な動きとして同調することを助けてくれる人が現れたら脳は新たに学び直すことができる
飼い主と子犬の関係を上手に修復するためにはシンクロ同調する作業が大事です
リズムがあってそれを上手にシンクロさせる作業
マルトリートメントを繰り返してしまう飼い主の背景には飼い主が相当ストレスをためていることが多い
そのストレスを早い時期に周りが気付きサポートする作業が大事
元々人間は太古の狩猟生活をしていた頃、共同で子育てをしていた
それと同様に犬のしつけ教室等の周りの子育て支援に頼っていいのではないでしょうか
飼い主さんの対応によって変わる犬の取り扱い方
現在飼い主さんが行なっている犬の取り扱い方を簡単なフローチャートによって具現化したものを紹介していきます!!
まずは、こちらの図。
これは、えりかで作成した資料で青が犬の行動、黄が飼い主さんの対応を表しています。
一番上の本能、これは横に書いてある通り犬がしたい事、自分を守る事です。
例えば穴を掘ることだったり、吠える・唸るなどの行動が含まれます。
そういう行動が飼い主さんにとって迷惑な事になると問題行動となります。
図にも出ているように犬の行動に対する対応の仕方によって大きく二つに分かれます。
感情的で適切な対応が出来なかった場合、犬はセロトニンの分泌の減少により不安や苛立ち、ストレスを感じ情緒不安定となります。
そして、本能が高ぶり咬みつきや物・壁などの破壊といった強い興奮状態になります。
興奮状態が続き、野性的で手がつけられない状態になってしまうと、飼い主さんや周りの人は犬に対する怯えや腹立たしく感じ、
適切でない対応を何度もすることでそれが悪循環となり犬の良くない行動が常態化してしまうのです。
では、飼い主さんが落ち着いて思考的冷静な対応をとった場合だと、まずセロトニンの分泌が正常になり犬の興奮状態が下がります。
更に、穏やかになり喜びや信頼を感じることで、本能が少し抑えられ情緒が安定します。
そして、理性的になり飼い主さんの目を優しく見て言う事を聞けるようになります。
飼い主さんも穏やかに安心感をもって犬と接することができ、犬の良い行動が習慣化していきます。
いかがでしたでしょうか?
ワンちゃんの問題行動が直らないと思っている飼い主さん、適切でない対応をしていませんか?
少しでも感情に任せて怒ってしまうと逆効果になってしまいます。
そうならない為に、飼い主さんがワンちゃんの取り扱い方をしっかりと覚えて冷静に対応すれば
ワンちゃんとの楽しい生活が待っているはずです!
お電話でお問い合わせしていただければカウンセリングの予約などもできますのでお気軽にご連絡ください。
動物取扱業登録 ( 保管 ) 生衛動取 第585号
( 訓練 ) 生衛動取 第586号
有効期間末日 令和7年11月19日
動物取扱責任者 船迫 昌和